perio歯周治療

川崎市宮崎台の歯医者「さとう歯科医院」では、歯周治療とインプラント治療に30年にわたり向き合い続けてきました。こちらでは、当院の歯周治療に対する考え方と実際の治療内容や長期的に経過観察を行っている症例についてご紹介します。

歯周病は「様子を見ましょう」から
「治る病気」へ

歯周病は「様子を見ましょう」から「治る病気」へ

当院の院長が歯科医師になったばかりの1986年頃は、歯周病に対する一般的な考え方が今とは大きく異なり、「歯周病は手術をしても治すことが難しい病気」と考えられていました。現在も歯周病は、治療をしても再発しやすいため多くの患者様が悩まれていると思います。

院長は1996年に歯科医師の研修団体である「JIADS」の歯周・補綴コースを受講し、当時アメリカの歯周病専門医の間で行われていた「歯周病の完治を目指す歯周外科手術やその考え方」を学びました。受講直後より学んだことを臨床で実践し、2022年現在で26年目になります。

歯周病を完治させるには
研鑽を積んだ専門家へ

歯周病は、歯を支えている骨である「歯槽骨」を溶かしてしまう病気です。歯周病に罹患すると慢性的に無自覚に症状が進行していきます。そのため、歯が揺れだし咬みづらくなり始めて自覚することが良くあります。肉体的に健康な方でも無症状のまま進行するため歯周病は油断できない病気です。

歯周病に対する研究が進んだ現在でも、専門的な知識と技術、十分な治療経験を積んだ歯科医師でなければ症状を改善させることは困難です。重度の歯周病を発症しながら、自覚症状が無いためにそのままにしている患者様も珍しくありません。当院では、できるだけ多くの患者様に病状を丁寧にお伝えし、初期段階のうちに適切な治療を受けていただきたいと考えています。

治療方針について

治療方針について

当院の方針として、初診時には、歯周病の診査として歯周ポケット検査とレントゲンの撮影を行い歯周病の状態を診断します。歯周ポケットは、1本の歯を6点測定する6点法を全ての患者様に採用しています。歯周病は、初期~重度まで患者様ごとに症状・状態が異なるため、必要に応じて口腔内の写真撮影を行っています。治療が本格的に開始される前に、患者様には現在の状態を詳細にご説明するように心がけています。

口腔内全体を診査し
問題点を改善する治療計画を提示

歯周治療は、診査・診断~治療計画~治療の順番で行います。軽度であれは、プラークコントロールと歯石除去が中心になりますが、中等度~重度の歯周病の場合は、口腔機能が壊れていることも多く、機能を回復させるには複数の処置が必要になります。例えばプラークコントロールの不良の原因がブラッシングの技術ではなく、不良な被せ物であったりブラッシング圧の耐えられない薄い歯肉であったりとさまざまな原因があります。

当院では、なるべく治療早期に口腔内全体を診査し問題点を改善するための治療計画を提示するようにしています。中等度以上に進行した歯周病を完治に導くには、どうしても外科処置に頼らざるを得ないことが多い反面、糖尿病や心臓疾患などで外科処置が困難な患者様もいらっしゃいます。当院では、Nd:YAGレーザーを利用することで外科処置に適応できない患者様にも症状の改善が期待できます。

歯周病は全身の健康と深く関わっています

歯周病は全身の健康と深く関わっています

口腔は、消化器官の入り口であると同時に、会話やその他の多くの機能を併せ持った重要な器官です。したがって、常にお口周りの健康維持を心がけることが大切です。歯周病のように、違和感や痛みなどの自覚症状が少ないまま進行していく病気には、特に気を付けなければなりません。

患者様の中には、「歯が抜けたまま放置している」「歯周病を治療せずに咬みにくい入れ歯で我慢している」「歯周病は治らない病気だと思って治療していない」など、病気を諦めて放置している方が多くいらっしゃいます。歯周治療は、専門性が高く高度な知識と技術を習得した歯科医師であれば完治できる可能性が高くなります。

歯周病を放置してしまうと歯の咬み合わせが崩れていき、それが影響して姿勢が悪くなり、身体全体のバランスまで悪くなってしまうことがあります。そうなる前に、適切な治療を受けることができれば身体全体の健康を保つことに繋がります。したがって、ご自身の歯で食事やおしゃべりを楽しむことは、「クオリティ・オブ・ライフ」の向上においてもとても重要なことなのです。

お口の健康は身体の健康と
繋がっている

お口の健康は身体の健康と繋がっている

毎年冬になると流行する風邪ウィルスの感染症も、諸説ありますが歯周ポケットが感染の一因ではないかと言われています。また、長年の研究によってインフルエンザも口腔内が健康な人の方ほどがかかりにくいことがすでに証明されています。

また、それ以外にも歯周病は糖尿病や心臓病、早産など、あらゆる病気と密接に関係しています。これらのことからも、お口の健康を維持することは、身体の健康を保つことにも繋がります。

長期症例紹介

総合治療 
~インプラント、歯周外科を中心に~

治療前

上顎右側第一小臼歯は、重度の歯周病に罹患し保存が困難な状態でした。上顎第二小臼歯部と下顎右側第一大臼歯部は、部分的に歯槽骨の吸収が進行していたため、残存歯が少ないこともあり再生療法を適応し積極的に保存できるように試みました。全顎的に歯肉が薄く退縮傾向が認められたため、補綴治療(被せ物)を行う部位は、歯周外科により厚みのあるブラッシングしやすい歯肉に改善するように計画しました。大臼歯部は、インプラント治療により咬合回復を行っています。

  • 治療前
  • 治療前
  • 治療前
  • 治療前
治療後

左右大臼歯部は、インプラント治療により咬合回復されました。補綴物(被せ物)周囲の歯肉は、歯周外科(遊離歯肉移植術・上皮下結合組織移植術等)を行うことでブラッシングしやすい厚みのある健康な歯肉に改善できています。歯肉退縮を起こしていた上顎前歯部は、厚みのある歯肉に改善されたため歯肉退縮の予防が期待できます。

  • 治療後
  • 治療後
  • 治療後
  • 治療後
  • 治療後
  • 治療後
  • 治療後
  • 治療後
治療後14年

治療終了後14年経過の状態です。上顎は、14年経過していますが歯周組織は安定し歯肉退縮もほとんど認められません。右下第一大臼歯は、治療後13年目に歯根破折を起こし、現在はインプラントに置き換わっています。抜歯後早期埋入を行うことで、治療期間はおよそ10ヶ月程度で抜歯前の咬合を回復することができました。レントゲン写真からも分かるように、BIOHORIZON‘S製インプラントは周囲の骨が天然歯に近い状態を維持できるため、非常に予後が安定しています。14年前に埋入した3i社製インプラントも、現在まで良好に機能しています。

  • 治療後14年
  • 治療後14年
  • 治療後14年
  • 治療後14年
  • 治療後14年
症例タイトル 中等度慢性歯周炎
患者様のお悩み 右上の歯肉の腫れ
治療内容 再生療法・歯周外科・部分矯正・インプラント治療(5本)
年齢 60代
性別 女性
治療期間 3年
治療費 税込 ¥4,070,000~4,290,000
(税別 ¥3,700,000~3,900,000)
治療で得られるメリット 再生療法による歯槽骨の再生で歯周病を完治させる事ができます。インプラント治療で臼歯部の咬合を回復することで、天然歯に近い咀嚼効率が得られます。部分矯正による歯牙の移動により理想的な咬合回復ができます。(部分矯正は、上顎右側中切歯に行いました)
治療する際に起こる
リスク・副作用
歯周外科後は、術後の腫れが1週間程度続く場合があります。継続的なメインテナンスを怠れば歯周病に再罹患する可能性があります。

「歯周病」について詳しくご説明します

歯周病とは一体?

歯周病とは一体?

歯は歯茎によって支えられています。そしてその歯茎とは厳密に言うと、歯肉・歯槽骨・セメント質・歯根膜から構成される歯周組織です。この歯周組織に起こる炎症や病気を総称して「歯周病」と言います。また、歯肉の炎症を歯肉炎、そして炎症がさらに進んで歯肉より深い部分で起こるものを歯周炎と言います。

歯周病悪化の原因

喫煙は歯周病悪化に繋がる最大の要因

喫煙は歯周病悪化に繋がる最大の要因

喫煙は歯周病を悪化させる最大の要因だと言っても過言ではありません。よく喫煙は身体の健康に悪影響を及ぼすと言われていますが、口腔内にとってもそうなのです。

タバコの成分である「ニコチン」や「一酸化炭素」が歯茎の血液循環に障害をもたらし、歯周病菌への免疫力を低下させてしまいます。また、歯周病の原因となる歯石や歯垢を歯に付着させやすくもします。歯周病だけでなく、歯が黄ばんだり、歯茎が黒ずんだりしてしまう原因にもなります。健康な歯茎ときれいな歯を維持するために、喫煙は控えたほうが良いでしょう。

歯列不正

磨き残しの大きな原因となります。口腔内環境改善のためにも矯正治療をおすすめします。

不適合な被せ物や詰め物

不適合な被せ物や詰め物があると、その隙間から菌が入り歯周病を悪化させます。適合した被せ物や詰め物に替えることをおすすめします。

歯周病チェック

  • 歯肉がブヨブヨして、口臭が気になる
  • 歯がグラグラして抜けそう
  • 顎やリンパ節が腫れている
  • 食べ物が噛みづらい
  • 歯の根元見えてきた
  • 歯ブラシをするときに痛い
  • 歯ブラシをすると血が出る

歯周病の治療法

スケーリング

スケーリング

スケーラーと呼ばれる器具を使用して歯や歯の根に付着したプラークや歯石を除去する治療を「スケーリング」と言います。歯石は、唾液に含まれるカルシウムと口腔内の付着物などが石灰化したものであり、歯周病菌をはじめ多くの細菌の温床でもあります。これをスケーリングによって除去することで、歯周病の発生を防ぐのです。

施術後しばらくは歯間に隙間ができたり、歯が長くなったように感じたりしますが、今まで付いていた歯石が取れた証拠ですのでご安心ください。

ルートプレーニング

ルートプレーニング

スケーリング終了後に、歯茎に隠れた部分までをキレイに歯石除去し、歯や根の表面を滑らかにする治療を「ルートプレーニング」と言います。プラークや歯石は、歯茎に隠れた目に見えない部分にも溜まるもの。歯根(ルート)面に付いたプラークや歯石、死んでしまったセメント質などを特殊な器具で除去して表面をツルツルにし、再び汚れや細菌が付かないようにします。

フラップオペレーション

フラップオペレーション

歯周病による歯槽骨(顎の骨)の破壊が大きく、歯周ポケットが深い場合にはスケーリングだけでは歯石をすべて取り除くことはできません。このような場合に、歯肉を切開して露出させた歯根にこびりついた歯石や感染した歯肉などを除去し、歯肉を元の状態に戻す治療を「フラップオペレーション」と言います。

歯周外科治療

遊離歯肉移植(Free gingival graft)

遊離歯肉移植(Free gingival graft)

歯肉は、遊離歯肉・付着歯肉・歯槽粘膜歯肉の3種に分類できます。この中でもっとも大切なのは歯周病の進行を防いでくれる付着歯肉です。しかし、付着歯肉はもともと3mmほどしかなく、過剰なブラッシングによって退縮しなくなってしまうこともあります。

歯周病の患者様にもし付着歯肉がなければ、どんなに日常的にブラッシングを行っても歯周病の進行を止めることは困難です。遊離歯肉移植とは付着歯肉を上顎の内側の豊富にある場所から獲得して、歯周病でなくなってしまった患部に移植する手術です。この手術により新たに付着歯肉が再構築されるのです。

根面被覆

根面被覆

根面被覆とは、過度のブラッシングなどにより歯肉が退縮したために審美障害や知覚過敏を起こした場合の治療法で、上顎から歯肉を移植することにより改善を図ります。この治療ではすべてのケースにおいて完全に退縮部を被うことは難しく、歯並びや退縮の度合いにより被覆の割合が決まります。

歯肉弁根尖側移動術

歯肉弁根尖側移動術

「歯肉弁根尖側移動術(アピカリー・ポジションド・フラップ)」とは、付着歯肉の増強や歯周ポケットの除去を目的とし、歯肉を切開して歯肉弁を作り、根尖側に移動させて縫合する治療です。付着歯肉が保存できるうえに歯槽骨の形態も修正できるなどの理由から、歯肉切除よりも適応範囲が広いのが特徴です。この治療により、プラークコントロールがしやすくなり、審美性の回復も期待できます。

治療の流れ

Step1:カウンセリング

まずは患者様とカウンセリングを行います。服用中の薬や生活習慣病はあるかなど、現在の健康状態を詳しく伺います。

Step2:応急処置

現状で痛みがある場合は、まず痛みを取り除く処置を行います。

Step3:レントゲン撮影

正確な診断を行うために、口腔内全体と歯のレントゲン写真を撮影します。

Step4:歯周組織検査
(歯周ポケット、動揺度、etc)

歯周病の進行度を調べるため歯周ポケットの深さを測ります。歯周病になると、同じ歯でも歯の内側、外側、前歯側、奥歯側で進行度合いが異なるため、1本の歯について4~6箇所歯周ポケットの深さを測り、その時に出血や排膿のチェックを行います。また同時にどの程度歯のグラつきがあるかを検査します。

Step5:細菌検査

唾液の中に含まれる歯周病原因菌の数や種類、また歯周病の炎症によって生じる物質などを詳しく調べ、歯周病の進行状況を調べます。

Step6:コンサルテーション

口腔内全体の状況を説明し、今後の治療の進め方についてご説明します。また同時に詳細な治療計画を作成します。

Step7:歯周治療(再生療法、切除療法、インプラント療法)

当院では基本的な歯周治療はもちろんのこと、重症の患者様のための専門的外科治療や再生療法などに取り組んでいます。

Step8:メインテナンス

治療が完了したらメインテナンスに移ります。放っておくと再発してしまいますので約3~6ヶ月毎にご来院いただき、虫歯や歯周病のチェックとともに、歯周病の再発を防ぐPMTCなどを行います。